吹田慈姑(すいたくわい)の魅力

食品技術士 リレーシリーズ 食品化学新聞2019年8月1日掲載

足達哲也     技術士   生物工学(細胞遺伝子工学)
千里金蘭大学生活科学部食物栄養学科、NR・サプリメントアドバイザー

大阪の農林水産物として、大阪産(「おおさかもん」)、「なにわの伝統野菜」の普及を推進している。大阪府では、平成17年から「なにわの伝統野菜認証制度」が始まり、生産者や加工食品の製造者や小売店、料理店が、販売する野菜や「なにわの伝統野菜」を使用した食品や調理品に、「なにわの伝統野菜」であることをPRするために認証マークを表示することができるようになった。認証制度を受けるためには、大阪府に認証マークの使用を申請する他、原産地市町村で生産または加工、販売する場合はその市町村を通じて大阪府への申請が必要となっている。

「なにわの伝統野菜」の基準として、①概ね100年前から大阪府内で栽培されてきた野菜、②苗、種子等の来歴が明らかで、大阪独自の品目、品種であり、栽培に供する苗、種子等の確保が可能な野菜、③府内で生産されている野菜、とされている。代表的な「なにわの伝統野菜」として、毛馬胡瓜(けまきゅうり)、玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)、勝間南瓜(こつまなんきん)、金時人参(きんときにんじん)、大阪しろな(おおさかしろな)、天王寺蕪(てんのうじかぶら)、田辺大根(たなべだいこん)、芽紫蘇(めじそ)、服部越瓜(はっとりしろうり)、鳥飼茄子(とりかいなす)、三島独活(みしまうど)、泉州黄玉葱(せんしゅうきたまねぎ)、高山真菜(たかやままな)、高山牛蒡(たかやまごぼう)、守口大根(もりぐちだいこん)、碓井豌豆(うすいえんどう)、難波葱(なんばねぎ)、吹田慈姑(すいたくわい)などが認められている(大阪府ホームページより引用)。

慈姑(くわい)は、オモダカ科の水生多年草であるオモダカの栽培品種で、平安初期に中国から日本に伝来したという説がある。慈姑(くわい)の栽培品種は青藍色の青クワイ、淡青色の白クワイ、小粒の吹田クワイの3種類があり、デンプン質が豊富で栄養価が高く、100グラムあたりのカロリーは126キロカロリーとサツマイモに近い。日本では「芽が出る」縁起の良い食物と評され、煮物にしておせち料理で食される。

     吹田くわい

吹田慈姑(すいたくわい)は、一般的に市場に出回っているくわいの中国原産とは異なり、日本の環境で進化したものが吹田慈姑(すいたくわい)と言われている。吹田慈姑(すいたくわい)の特徴は「苦味」と言われており、その成分はトリテルペン類を主であると考えられている。トリテルペン類は植物の二次代謝産物であり、多様な化合物群を形成される。植物自身にとっての植物二次代謝産物の機能としては、病害菌感染や病害虫に対する防御や、花粉を媒介する昆虫の誘因、強光や乾燥などからのストレスの緩和などの機能があると考えられている。

二次代謝産物は、植物が自然環境に適応し生き残るための戦略のひとつとなってきた重要な化合物群である。トリテルペン類についても植物に自然環境適応の化合物であるが、ヒトに対しての機能性成分として、抗炎症、抗腫瘍、発がん予防、血糖降下、脂質異常改善、肝保護、抗ウイルスや抗菌作用など多彩な生理機能が報告されており、これらを含有する吹田慈姑(すいたくわい)は機能性食品として期待できる。実際、私の研究グループでの肝臓培養細胞を用いた系において、吹田慈姑(すいたくわい)の抽出物が肝細胞内に蓄積した脂肪滴量の減少を見出した。

本学は吹田市に位置しており、吹田市との連携を進めている。この吹田慈姑(すいたくわい)を食材として、生理機能性を活かして独特の苦味を風味にかえられるようなメニュー展開を目指して、調理方法の工夫やメニュー開発を推進しているが、現時点では発展途上の段階である。吹田市民ほか、大阪、全国への、吹田慈姑(すいたくわい)の食材としての認知度向上を目指すべく、食材としての吹田慈姑(すいたくわい)の魅力を今後とも伝えていきたい。

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