機能性表示食品制度における生鮮食品の現状と課題

2018年9月15日講演録

「機能性表示食品制度における生鮮食品の現状と課題」
小堀 真珠子 氏
農研機構 食品研究部門 食品健康機能研究領域長

 食品には3つの機能(1次機能:栄養機能、2次機能:感覚機能、3次機能:体調調節機能)があり、一般に食品の3次機能については「機能性」ともいわれ、食品の3次機能に関する表示を機能性表示と呼ぶ。機能性表示ができる食品は、保健機能食品と位置付けられ、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品に分類される。(図1)


     図1.機能性表示のできる保健機能食品

 特定保健用食品(トクホ)は機能性や安全性について消費者庁が審査を行い、食品ごとに許可している。許可を得るために時間や費用がかかるのが問題とされてきた。栄養機能食品については審査不要であるが、ビタミンやミネラルなどの成分に限られる。そこで、アベノミクスで食品の機能性表示の緩和が行われ、2015年4月から機能性表示食品制度がスタートした。

 機能性表示食品制度における機能性表示食品とは、事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして消費者庁に届けられた食品であり、機能性表示食品届出ガイドラインに従って書類を揃え、消費者庁のウェブサイトを用いて申請する。届出申請を行ってもガイドラインに沿っていない場合は受理されず、「差戻し」となる場合がある。
機能性表示食品のメリットとして、
① 開発費用が大幅に削減される
② 中小企業・小規模事業者にも対応できる
③ 生鮮食品も届出可能である
などが挙げられ、トクホにない機能性についても科学的根拠があれば認められている。図2に機能性を表示し得る農林水産物の条件を示した。


図2.機能性を表示し得る農林水産物

 講演直前の数字として、消費者庁による機能性表示食品の受理数は約1430件であり、そのうち生鮮食品は16件と極めて少ないと発表された。生鮮食品の機能性表示食品受理数が少ない理由について、加工食品と異なり、機能性関与成分の濃度にバラツキがあったり、濃度調整ができない点にある。また、サプリメント等と異なり、健常者を対象としたヒト介入試験を行った論文が少ないことも一因である。

 生鮮食品の機能性関与成分のバラツキに対する対策として、品種、産地、生産者、栽培条件、栽培期間によってモニタリング検査を行い、バラツキが少ない条件(同一産地、同一ブランドなど)に揃えて機能性関与成分の濃度の範囲を分析し、下限を設定する必要がある。どうしても表示値を下回る可能性がある場合には、「○○(機能性関与成分)の含有量が一定の範囲内に収まるよう、栽培・出荷等の管理を実施しています。しかし、△△は生鮮食品ですので、◇◇(バラツキの要因)などによって、○○(機能性関与成分)の含有量が表示されている量を下回る場合があります。」などの注意表示を付すことになっている。

 生鮮食品の機能性表示食品として、農研機構が関与した農作物(温州みかん、緑茶、リンゴ及びほうれん草)、大豆もやし(サラダコスモ㈱)、トマト(カゴメ㈱)などの紹介があった。

 温州みかんの機能性関与成分はβ-クリプトキサンチンで、この成分は糖度との相関が高かったことから、非破壊分析で行える糖度分析の結果によってバラツキを抑えることができた。そのため、制度がスタートした2015年度に届出をして受理された。緑茶(べにふうき、)機能性関与成分:メチル化カテキン)、リンゴ(ふじ、機能性関与成分:プロシアニジン)及びほうれん草(機能性関与成分:ルテイン)は非破壊分析で分析できる糖度などと機能性関与成分の相関が見出せなかったため、届出申請は最近になってからであり、申請数もまだ少ない。

 農研機構HP(http://www.naro.affrc.go.jp/project/f_foodpro/2016/063236.html)では、
図3に示した生鮮食品(機能性関与成分)の研究レビューを公開している。機能性表示食品の申請を考えている事業者はこの研究レビューを使用して届出をすることができる。


 図3.農研機構が公開している研究レビュー

(文責:食品技術士センター)