世界情勢の変わり方

食品化学新聞 2018年12月18日掲載

齋藤 健 技術士(農業部門) 

 本コラムに執筆を始めてもう15年になる。それ程昔に書いたことではないがもう古くなったことが沢山あることに気が付いたので、少し修正したい。

国連分担金
 平成26年に2013年の国連分担金の事をかいた。米国が第1位で負担率22%、第2位が日本で10.83%、続いて独、仏、英の順で中国は第6位であると書いた。その後の2016年から2018年の間は米国の分担率は22%で第1位、日本が9.68%で第2位、中国が7.92%で第3位と上がり、続いて独、仏、英の順番となった。これが2019年からはGDPの成長などから今の予想では米国の第1位は変わらず、中国が12.005%で第2位、日本が8.564%で第3位と中国に逆転される見通しとの事。

 中国の国際関係の位置づけが益々大きくなることと予想される。日本は今までも第2位の分担の実績を持ちながら国連機関の日本人職員の雇用数を増やし、支払った金額に見合う存在感を示すというような努力を十分に払ってこなかったが、中国はそのようなことはしないであろう。ひところ国連機関はインド人がごろごろしていたというが、今度は中国人がごろごろしているようなことになりかねないと密かに危惧している。WHO、ILO、FAOなどの国連に準ずる専門機関の負担率も国連本体にならうとされているから同じような問題が起こる危険性がある。若い国際的な感覚を持った方々の国連機関への出現を期待するものである。

 日本に本部を置く国際機関は多くはないが、その中で横浜に本部を置く国際熱帯木材機関がある。ITTOと略称されている。熱帯林資源の保全と持続可能な経営、利用、貿易を促進するための政府間組織であり、加盟国は生産国であるブラジル、インドネシア、マレーシア、アフリカ諸国と消費国である日本、中国、EU, 米国など70か国からなっている。1986年の創設以来3億ドル近いプロジェクトを営んでいるがその三分の二は日本政府からの拠出金によっている。 事務局次長には農水省からのスタッフも出向している。地球上で発生する炭酸ガスの35%に当たる16億トンを吸収する熱帯林の保全の重要性は地球温暖化防止のためには必須であり、そのための日本政府の貢献はもっと全世界に周知されるべきものと思う。

輸入穀物の危機
 平成30年2月刊の本コラムに日本が玉蜀黍、小麦、大豆などの需要の大半を米国からの輸入に頼っていると書いた。玉蜀黍は年間1500万トンにも達するという。最近。真山仁の黙示という小説を読んだ。新潮社から2013年の刊行である。内容は農業の近未来についてであるが、米国が大干ばつに襲われ穀物輸入国に転落、これを救う手段がGMOによる干ばつに強い玉蜀黍や大豆の出現であるということ、中国が日本に対して米400万トンの輸出を要請してくることなどである。

 今年の夏の我が国の異常高温や台風来襲の多さから、近い将来の米国の大干ばつの可能性を全く否定することはできないと思われる。その様なときに政府はどういう対応をするのであろうか、中国の日本に対する米の輸出要請は過去日本では1200万トンの米が生産されていたが現在では800万トンまで減少している。その差400万トンは生産の潜在性があるとみて要請してきているという。日本はどこに対して年間、玉蜀黍1500万トン、小麦330万トン、大豆400万トンの輸入を要請できるであろうか?憲法改正以上に重要な国民の食料の安定供給という問題をいかにして不安なくするか重要な問題である。小説では農水省と経産省の協力で日本農業食糧振興機構を設立して、農業のスケールアップを進めて生産を合理化して、淡路島にパイロットフアームを設けて、高品質の農産物を関空から香港、シンガポールの富裕層向けの輸出をはかるというハッピーエンドになっている。

韓国に要注意
 韓国文在寅大統領が北朝鮮金正雲委員長と会談を重ねて、米国との非核化の協議についての仲立ちを必死になって努めているようである。韓国の外交についてはいったん政府間で取り決めた慰安婦についての取り決めを破棄するような 行動をとったり、観艦式に出るわが国自衛艦の軍艦旗掲揚を認めないなど、場当たり的な独立国としてはあり得ない行動をとっている。北朝鮮との親密性を高めるかのごとき行動は、将来南と北が統一した時に労少なくして核保有国になることを予測しているのではないかと

思わせるものである。朝鮮族としては核は決してはなさないであろうから統一に乗じて核保有国となるという算段である。隣接する中国、ロシア、朝鮮三か国が核保有国になった場合、日本の安全保障はどうするのか、いつまでも核被害国だから核武装しないと唱えているわけにはいかないと愚考するがいかがであろうか。

 筆者紹介:発酵工業会社、国連食糧農業機構、ODAコンサルタントとして農産加工・流通改善計画の経験あり。日本エッセイストクラブ会員。

食品化学新聞より許可を得て掲載しております