地域産品の地理的保護制度

食品化学新聞 2017年3月16日掲載

中谷明浩 技術士(農業部門)

1. はじめに

 我が国において地域活性化は重要な課題の一つである。そして、その地域の伝統食や特産品、いわゆる地域産品を活用して地域活性化につなげる活動は、すでに各地域で積極的進められている。一方で、それら地域産品の品質の維持、模倣防止、及びブランドの無許可使用等の問題に対して、どのような手段で臨むのかが悩ましい課題となると思われる。そこで、本稿ではその保護制度の一つとして、一昨年の6月に農林水産省より運用が開始された「地理的表示保護制度(GI)」について紹介したい。

2. 地理的表示保護制度とは

 端的に述べると「地名+産品名」で、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結び付いているということを特定できる農林水産物・食品等の名称(地理的表示)であって、それらを農林水産省が審査・登録を行い保護する制度である。(*1)

 従来は、商標法における地域団体商標制度のもとでの保護が中心であったが、本制度の施行により、保護可能な範囲が広がりをみせた。世界を見ると、すでに100ヵ国を超える国で該制度のもと地域産品が保護されており、例えば、フランスのボルドーワイン(ボルドー産)が有名である。

 我が国でも、一昨年の制度運用開始以来、平成28年12月7日現在で24品の登録がされている。その詳細については、農林水産省ホームページにおいて公開されているので、ご興味があればご参照されたい(*2)。

3. 地理的表示制度活用における効果

 農林水産省によれば、申請をし、登録をされれば①「地理的表示」を生産地や品質等の基準とともに登録することで、基準を満たす生産者だけが「地理的表示」を名称として使用可能、②基準を満たすものに「地理的表示」の使用を認め、登録標章であるGIマークを付すことによって、品質を守るもののみが市場に流通し、GIマークにより、他の産品との差別化が図られる、③不正な地理的表示の使用は行政が取り締まることで、訴訟等の負担なく、自分たちのブランド を守ることが可能となる、④生産者は登録された団体への加入等により、「地理的表示」を使用できることが可能となり、地域共有の財産として、地域の生産者全体が使用できる、と説明している。(*1)

4. 上記の登録については、

 地域産品を生産・加工する業者の組織する団体であって、その産品の「名称」、「生産地」、「特性」、「生産の方法」、「産地との結びつき」及び「伝統性」を明示し、申請する際には、これらの要件と共に「品質基準」(明細書)及び「品質管理業務に関する定め」(生産行程管理業務規程)が必要となる。(*1)

 この制度の大きな特徴の一つとしては、上記③の「不正使用は行政(農林水産大臣)が取り締まる」という点にある。商標権の侵害については訴訟等によって自ら救済しなければならないところであるが、この制度では行政(農林水産大臣)が不正使用者に対し「表示の除去又は抹消命令」等を行うことができるために、訴訟等の大きな負担が予想される潜在的な不安が軽減されるものと思われる。また、不正使用に対する法的抑止効果も期待できる。

5.  最後に

 地理的表示制度の具体的な説明および活用法については、農林水産省のホームページより閲覧することができる。(*3) 地域産品においても、その知的財産の活用と保護は、活性化や成長という観点からも重要であると考える。これらの制度を上手に活用することで、地域ブランド力の強化と品質の確保等により、更なる地域発展につなげられるよう期待したい。

(*1) 地理的表示法について(農林水産省HP)
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/outline/attach/pdf/index-3.pdf
(*2) 登録産品一覧(農林水産省HP)
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/index.html
(*3) 地理的表示(GI)保護制度(農林水産省HP)
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/index.html

食品化学新聞より許可を得て掲載しております