森永ホットケーキミックスについて

講演記録 2019年3月16日

森永ホットケーキミックスについて
渡部耕平氏
森永製菓株式会社 マーケティング本部
菓子食品マーケティング部食品カテゴリー担当 
技術士農業部門

 パンケーキとは、小麦粉に卵やベーキングパウダー、砂糖、牛乳、水などを混ぜた生地を、鉄板やフライパンで焼いたものを言う。日本では長年「ホットケーキ」として親しまれ、近年では「パンケーキ」と呼ばれるようになり、種類も豊富になった。
 最初にパンケーキが作られた記録はないものの、パンケーキの歴史は古代ギリシャまで遡るといわれている。当時は小麦粉と水の生地を熱した石で両面焼いていたとされている。そして、初めて文献に登場するのは16世紀に入ってからである。18世紀には料理書にパンケーキが頻繁に登場するようになり、19世紀にはあらゆる階層の人々が食べるようになる。さらに、19世紀の終わりにはアメリカでパンケーキ粉が発売され、気軽に食べられるようになった。
 日本では、 1884年に雑誌で「パンケーキ」とはどんなものか紹介され、1923年に東京のデパートの食堂で「ハットケーキ」という名前で出されたのが始まりと言われている。そして、1931年には「暖かいケーキだからホットケーキ」と名付けられ、ホーム食品から「ホットケーキミックス」が発売された。 その後、発売されて人気を博した「森永ホットケーキの素」は甘いものであったため、日本では長年ホットケーキは甘いものとして浸透している。
 森永製菓では、この市場に1957年に参入して以来、トップシェアーを維持している。その理由は、森永ホットケーキミックスが下記の5つの特徴を持っているからであろう。
  1.誰が作っても失敗しない
  2.ふんわり厚さ2.3cmのホットケーキが焼ける
  3.アレルギー物質である卵を使用していない
  4.ミックス150gで使い切り易い量である
  5.マフィン、蒸しパン、クッキー、ドーナッツにアレンジできる
 しかし、近年30~40歳代の女性の多くが仕事を持ち忙しくなってくると、ホットケーキを焼いて子供に与える機会が少なくなり売り上げも減ってきた。ユーザーは大まかにヘビーユーザー、ミドルユーザーライトユーザーに分けられる。このユーザーの中のライトユーザーは作った後のボールや泡立て器を洗うのが面倒と市場から離れていく。
 そこで、ライトユーザーをターゲットにした「もみもみホットケーキ」(左写真)を開発した。ホッ
トケーキミックスが入った袋に牛乳と卵を入れて、1分半もみもみして袋からフライパンに絞り出して焼けば出来上がりというものである。洗い物もないという手軽さが受けて、ライトユーザーに受け入れられた。この商品の開発に当たっては、卵と牛乳を入れてもみもみするときに、ミックスがだまになりにくい、袋が倒れにくいなどの工夫を施している。このようなプレミックスの商品は、おやつが手軽に安価に作ることができるというだけでなく、親子が共同調理をすることで「親子の心の発達に寄与する」ことが、白百合女子大学の田島教授の研究によって分かっている。ホットケーキは、子供のおやつとしてだけでなく、親子の心理的な発達、また、バレンタイン、クリスマス、ハロウィンなどの催事に重要な 役割を果たしている 。更に、災害が続く今日、災害時の食としての評価も高くなっている。ホットケーキミックスは、発売以来60年以上続くロングラン商品としての価値だけでなく、時代の変化とともに新たな役割を担った商品であることを再認識した。
                                 

(文責:食品技術士センター)    

   

 

 

 

                                                                   
                 


 

 

 

図1もみもみホットケーキミックスのパッケージ