農林水産業をめぐる動き

 総会の記念講演として技術士で参議院議員の進藤金日子(かねひこ)氏にお話し頂いた。与党技術士議員連盟を作って、技術士制度の改革よび農業分野を軸に活躍されている。講演の概要を下記にまとめました。

与党技術士議員連盟

 与党技術士議員連盟は、平成28年にできたばかり。技術士資格をもつ国会議員はわずか4人でしたが議員連盟を結成した。会長には、科学技術庁長官も務められた山東明子氏にお願いした。

 現在の検討項目は、技術士制度の改革で4つのポイントがある。1)更新制度、 2)技術士補の在り方、 3)技術士の国際整合性、4)資格の活用。

 これらの検討と実施のためのロードマップを作った。技術士会でも検討委員会を立ち上げる。なかでも更新制度を作ることは、諸外国と比較しても重要だと考えている。

 本日の講演の題名は「農業を巡る状況」としてり、進藤氏の議員活動の基となっている認識と考えを述べられた。

農政改革の状況

 日本の人口が減りつつあり、伴って国内マーケットは減ってゆく。2050年には、1億人以下となる。一方、世界人口は現在より3割増加して97億人に達すると予想されて農業マーケットも巨大化する。

 氏は、H28は農政改革のポイントとなる年で変化の始まった年だと指摘する。農協、農業委員会、農業生産法人に関する新法が法制化され、11月には地域の改定プラン「農業競争力強化プログラム」さらにTPPの受け入れ、そのために生産資材の価格を下げてゆくという方向性へ内閣を挙げてやっていこうとなった。安倍政権、官邸主導で進もうとなった年だからだ。

 この中では、「農地中間管理機構」なる仕組みを作り、各地で分散・錯綜した状況の農地の所有状況を組み直して、担い手ごとに地続きに管理する農地がある状況を作ろうとしている。農地は地続きで集約されないと機械化もスマート化も困難になるため農地の集約は意義が大きい。
 
 「農業競争力強化プログラム」の実施のためにH29には8本の法律を作った。H30には9本の関連法律を作り、H31には4本の法律を改正して、法整備を進め、農業者が自由に経営展開できるような環境の整備を進めた。ため池管理法も含まれている。また、種子法の廃止も上記に含まれるが、世の中では誤解が多い。

農地の「集約」にむけて

 大きな動きは、土地改良制度の見直しで、動かない農地を動かすために、農地中間管理機構を設け農地バンクとして賃借を進めている。農地の「集約」と「集積」は、定義が違い言葉を使い分けている。「集約」隙間なきうつながった農地を手に入れること、「集積」ばらばらでも面積として広く手に入れる状態でスマート農業のためにも地続きの「集約」が大切です。企業参入をやりやすい方向も必要で、「人農地プラン」の実質化も進めている。

 「コメ政策」の在り方については反響を呼んでいる → 作りすぎると値段が下がる
 経営所得対策では、農家の所得を挙げてゆかないといけないと生産調整を行い、農家への直接保証を進めた結果、集約は遅れてしまった。米価を下げたが、さらに土地改良を遅らせた結果を招いてしまった。

少子高齢化人口減少と農業

 日本は少子高齢化で人口は減って行くが、世界の人口は増えてゆく、特に途上国の人口が増えてゆく。国内では、米の消費は、ここ50年で半減した。農家数も減少した。米という農業の変化が大きい。交付金制度の変更も継続して実施している。日本人の食生活の変化が大きいことにも注目している。

 図に示したのは、一人あたり1日の摂食量で、総カロリーはここ50年でほとんど同じであるが、内容が大きく変わっている。米の摂取は半減し、畜産物は3倍、油脂類は2.5倍と栄養素のバランスが大きく変化した。図は、進藤氏オリジナル図で、日本人が摂取している栄養素が国産なのか海外産なのかも示している。図の中で黄色い部分は、飼料として輸入に頼っている部分を指す。大きく摂取の増えた油脂、畜産物の海外依存度が極めて高く、これらが大きな要因としてエネルギーレベルの自給率は38%と低くなった。一方、金額ベースの自給率は63%と過半は超えている。

 コメの輸出増えている。国産農産物の消費拡大のキャンペーンを行っている。国内は縮小、世界は拡張の大きな食糧事情の変化が進行する中、食料安全保障の推進を行っている。

 

 

 

(文責:食品技術士センター)