日本エキス調味料協会

食品化学新聞2018年1月25日掲載

 石田賢吾 (技術士農業部門)

 このたび平成十五年の協会の立ち上げ以来、14年間の永きにわたり務めさせて頂いた、日本エキス調味料協会専務理事を退任致しました。同協会は、(株)食品化学新聞社とも関係深く、小生の独立技術士活動の大部分を占めるものであり、食品関連行政の動きとも関係深いため、その概要を振返ってみたい。

協会の設立

 平成13年日本でのBSE(牛海綿状脳症)の発生や、無許可食品添加物の使用、JAS法改正など食品安全に関する事案が多発した。このような中で、農林水産省から行政と業界の連携強化の要請があり、食品化学新聞社社長の故落合慶一郎氏が世話人となり、平成14年発起人会社22社による設立準備委員会を経て、翌15年任意団体として、会員数47で発足した。尚、食品化学新聞社は、古くから当時の社長落合慶一郎氏と現社長川添辰幸氏らがエキス系調味料に関する技術・生産・業界動向等を調査されてきた。

 そして、平成15年9月、協会設立総会が開催され、初代会長に当時のアリアケジャパン(株)岡田甲子男氏、副会長3名、監事2名、と私が専務理事に選出された。尚、平成29年9月の定時総会で第8代目新会長に仙味エキス(株)の筬島克裕氏が、専務理事に元理研ビタミン(株)の川崎満康氏が選出された。

協会の活動

協会設立後は、まず協会運営の組織として、理事会、総会及び専門委員会(総務委員会、技術委員会)を作り、活動テーマとして、

①エキス調味料の品質・安全性・需給に関する調査研究
②行政機関・関連団体との連携強化並びに関連情報の調査
③エキス調味料に関する技術の調査・研究と人材育成(技術・特許情報と基礎講座他)
④関連情報の収集と発信(会報など)
⑤会議等の開催(総会、理事会、
⑥その他の事業(広報活動など)を掲げて活動を続けている。

本協会で最も注力したのは「エキスの安全・安心の確保」である。その概要は以下の通りである。

エキスの規格に関するガイドライン

 エキスは、農・水・畜産物や酵母の抽出物であり、原料、使用目的、形態も多様化しており、JAS法等によっても決められていない。従って、その概要を協会として、分かり易く定義することが求められた。平成16年「エキスの規格に関するガイドライン(初版21年改訂)」を制定した。これは、調味料としてのエキスの定義、原料・品質規格、エキスの分類から成り立っている。その他、エキス原料としての「豚げんこつ」や「鶏原料」の定義なども設定した。

BSE対策

 平成十五年、BSE関連として、「牛脊柱の特定危険部位への指定」、「米国でのBSEの発生と輸入禁止」措置が講じられ、エキス製造事業者への大きな影響を与えた。これらの行政動向に対してもクイックな情報の収集と提供に努めた。

農薬等のポジティブリスト制度への対応

 平成15年度の食品衛生法の改正により「農薬等のポジティブリスト制度」が導入された。同法は、農水畜産物を原料とするエキス調味料にとって、非常に関係の深い制度である。同法の確実な遵守のための「食品に残留する農薬等のポジティブリスト制度の概要と調査報告」、「エキス調味料の農薬等のポジティブリスト制度への対応についての手引書」などを作成・配布して、確実な対応の周知徹底に努めた。

エキスの実態調査

 水産エキスの有機ヒ素、無機ヒ素、鉛、カドミウム、総水銀、メチル水銀、ベンゾピレンなどの実態調査を、外部の検査機関分析して頂いた。全てのエキスの試料において、基準値以下であった。

 また、シーズニングオイルやエキスに含まれる油脂類のトランス脂肪酸顔料は全て2%以下であった。
 その他、JAS法の「業務用加工食品の表示」、「親鳥や魚類原料を使用するエキスのアレルギー表示」などについても調査研究を行った。

信頼性向上の自主行動計画

 農林水産省は、業界団体及び各事業者へ、消費者基点の明確化、コンプライアンス意識の確立、安全衛生管理の徹底を要請している。当協会も「日本エキス調味料協会信頼性向上自主行動計画」を作成して、これの遵守を推進している。

おわりに

 日本エキス調味料協会の設立、基礎作りの14年間、協会会員の皆様、事務局の方、行政機関や新聞社などの多数の方々のご支援により勤めさせて頂いた。食料資源の有効利用、食品のおいしさ向上、健康の増進に関係の深いエキス調味料が今後とも、健全で、持続的発展を遂げることを祈念致します。

食品化学新聞社の許可を得て掲載しております。