横浜の小学校で油を搾る授業を行った

食品化学新聞2018年6月7日掲載 

鈴木修武 技術士(農業部門) 鈴木修武技術士事務所 

 横浜のある小学校の授業で、筆者が開発した搾油機で油を搾る授業を行った。うれしいことである。菜種、クルミ、椿、ゴマなどから油を搾っていた。5月から12月まで学んでいて、最終段階で「油の絵本」を書いた筆者が招かれた。教室に行って驚いた。高度な勉強をしており、オレイン酸、リノール酸もあった。

① 散歩道の平戸永谷川、久良岐公園には種がなかった。なんでかな

 縄文時代の主食はクルミ、クリ、どんぐり類で縄文遺跡がある横浜にもオニグルミがある。先生は椿とクルミの種が探していた。自宅近くの神明社の竹林に椿の木があり、毎年のように実が落ちている。散歩仲間が拾い割って油を手に着けていたので行ってみたが実が軽かった。種子の美味しい部分はツバキシギゾウム?が食べているのである。散歩道の川辺にもオニグルミが生えているが土木事務所が定期的に刈るので一度だけしかなったことを見たことがない。久良岐公園にもオニグルミの木があるので事務所で聞くとタイワンリスが「ごちそうさん」しているとのこと。困ったので浜松のいとこに電話で頼み、椿もクルミも集めて送ってくれた。自然界では人間よりも動物や虫達の餌であった。当然であるが、野生のオニグルミは市販されているクルミより実が小さかった。子供達は見たことがなく喜んで触っていた。

② 種子からどのように油を搾るのか?

 生徒達は工夫をして搾っているが、なかなか搾れないのでいろいろ質問された。鈴木式小型搾油機を開発する際、油を含んだ種子から簡単に搾れると思ったが、これは江戸時代から考えられた方法と同じであった。全国の農家より栽培したエゴマを油にしたいという相談があるので、以前訪問した堀内製油に紹介している。この工場は、小型の装置で種子を選別・焙煎し、そのままか粉砕し蒸気で蒸した後、圧搾して粗油を作る。温水で粗油を水洗し和紙でろ過し、簡単な装置で脱臭し検査充填する。これを説明したところ小学生はわかり易く頷いていた。油を搾る原理は同じであるが、大規模工場では溶剤抽出やアルカリ精製をする。その後、筆者達が開発した通称「魔法の油」焼きそば・厚焼き卵用、おにぎり用離型油(炊飯油)、酸化安定油、ほぐし用油等を説明したら大受けであった。

③ 植物油や魚油は、健康に良いってほんとかな?

 油の製造方法ばかりではなく、油の効用について、やさしくではあるが大人の目線で説明した。中学生の頃、尊敬する先生が手抜きせず、わかり易く高度な知識を教えてくれたので、小学4年生は大人扱いで説明したがわかっただろうか。

 油の基本は、3つの脂肪酸からなり、2つ以上のオレイン酸やリノール酸等の液状だと液状油になり、2つ以上の飽和脂肪酸が固形であれば、牛脂や豚脂のような固体脂になることを見本で説明した。

 また、油を食べると太ると言う噂を払しょくするために、油の効用を教えた。油はエネルギー源ばかりではなく、生活に欠かせない様々な効用があることを話し、細胞膜や血管の細胞、脳細胞にも必要である。さらに美容と健康と若返りのビタミンEの約30%の供給源なるなど高度な説明を行った。脳の約3割はレシチン(リン脂質)があり魚油も必要であること。油は代謝分解すると脂肪酸から肌や手の殺菌剤になることなど、盛り沢山教えたが混乱しただろうか。肉を食べすぎると固体脂が多くなり、高脂血症などになるので程ほどという、油のマイナス効果も教えた。

④ 小学生のみなさん。発明家や研究開発者になれるかな?

 月に一回程度、日本科学未来館でスーパーカミオカンデのニュートリノの裏話や山中教授がノーベル賞を取ったiPS細胞を説明するボランティアを行っている。また、焼きそば、オニギリの発明家として話をすると、高校生や理系の大学生はどうしたら研究者や発明家になれるかと質問される。冗談に、好奇心旺盛な・勉強好きな人、ゴロニャンする人(大学教授、公的な研究機関、社長や上役に物怖じしない・・筆者は失敗か成功か)、小判ザメ精神(寄らば大樹の陰)、すぐやる人(理屈を言わず手足を使う人)、へそ曲がりな人(独創性がある)、チームワークや仲間づくりの好きな人(世の中ギブアンドテイクの世界)などと言って煙に巻いている。誰でもできて誰でもできないとうそぶいている。研究開発者や発明家の人達はどのように思われますか。生徒達は、面白かったと言ってくれたがためになっただろうか。みんなで明日の日本を支える子供達を育成しましょう。

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