”食用”以外や意外

食品化学新聞 リレーシリーズ 2006年4月27日掲載

中山正夫 技術士(農業・水産部門)中山技術士事務所

異次元の用途開発を!!

わが国はいまや飽食時代。デパート、スーパー、コンビニなどの食品売り場には、多種多彩の商品が溢れている。しかも食べる側の人口は減少傾向で、食品消費の絶対量が低まっていくことは確か。その上、“もったいない運動”も進めば、食品業界の将来はいままでどおりにはいくまい。その対応をどうしたらよいか?―― との声も大きい。

一法として“食以外の多分野の用途に食材を使 っては?” という考えが生れる。日本農業新聞の記事に、“米粒”を鍼灸 (しんきゅう) のつぼ押しグッズとして使うとの記事があった。それは手首や耳のつぼに米粒をテープで張りつけ、上から指圧を繰り返すという安 価にして手軽な方式だ。また、以前、アメリカより機械部品が送られてきた時のパッキング材は、なんとポップコーン!!。 虫に食べられる恐れはあるかもしれないが、無公害にして手軽な材料といえた。

風邪をひき熱を出した時、ひんやりとした生鮮キャベツを枕に寝れば熱が下がるとは、ごもっともな話。せきが出たら“お茶でうがい”、も理に適う。

化粧品や入浴剤に!!

“医食同源”の“医”を“薬”に変えた言葉は、よく耳にするところ。最近ではさらに“化”の字に変えている。“化食同源”の“化”は”化粧品“の意味。Mワインメーカーは、関連するブドウ樹液を使って老化防止の基礎化粧品を売り出した由。従って、この”化“は、”化粧“だけでなしに”老化防止“の”化“対策にもなる。また、カカオ豆の抽出成分に各種ハーブを配合した I社の化粧品も登場。脂肪燃焼や血流促進の効果があるという自然派か?

一方、昔から5月の節句にはショウブ、2月の冬至にはユズを、それぞれお風呂に入れて、子供の健康を願ったもの。それが持つ効能や香りを楽しむ役目を果した。一歩進め、地産地消とPRを兼ねて、地元産のリンゴ やミカンを温泉の浴槽に浮かべると、お客を誘う効果は大きい。かつて鹿児島の温泉で牛乳風呂に入ったことがある。聞けばその乳成分はなんと!! 脱脂粉乳。脂肪のないお陰で、お湯がベタ付かなかった。単に牛乳を使うだけで済むものでなく、一工夫を加えたと思いたい。

アルコール派にとっては『酒風呂』。G酒造メーカーでは“海藻エキス入り”、“ヒアルロン酸入り”、“真珠エキス入り”,などの特徴を出させ、これに粉末加工した日本酒を10%混ぜた入浴剤を開発。『飲む → 浸る』への次元を変えてしまった。お肌からのアルコール吸収以外に、口から酒を飲みながら入浴すればダブルの酔い効果も生まれるか。

洗剤用には!!

この頃、重曹 (重炭酸ナトリウム) を洗剤として使うことが巷の話題になっている。弱アルカリ性のため、当然のことながら洗浄性はあり、環境を汚さない点、評価が高いわけか。しかし、重曹を食品添加物の一品種と 知っている消費者が少ないのは残念だ。工場では、食器の乳化剤であるショ糖脂肪酸エステルは、野菜の洗浄剤として使われることも多い。 “食添の方が一般洗剤より安全”、との考え方によろう。

先日、たまたまTV番組で、“黒くなった銅鍋”をソースで処理して、ピカピカにする実演を見た。その効き目はソースの成分であるお酢の力が主たるもの。しかし、ヒントにしたい点は、汚れた銅鍋にソースを塗って5分間置いて後、水洗するとのこと。 つまり、ソースが持つ粘りにより鍋への付着力が増すからか。サラッ!!とした酢との違いはここにありそう。従って、ウスターよりもトンカツソースの方が適しよう。

意外な用途としては!!

昔、知人からいただいたゴルフのティーは小麦粉製。分解性を持つため、ゴルフコースのメンテナンスには歓迎される由。農業に使われる生分解性マルチと同じのエコ対策といえる。

自動車のタイヤに刻まれた滑り防止溝の子供向けの説明用材料に、板コンニャクが使われるのを見た。斜めにしたまな板の上に溝無しと包丁で横溝を入れた板コン試料を並べて置く。その上から水をかけると前者だけがスー!! と滑べり落ちた。

また、『トースト・アート』で有名な小川忠彦氏の作品―63枚の濃淡いろいろの焼け具合のトーストを組みあわせて描いた(?) 『モナリザ』がある。つまり、食品を文字どおりの食べものとしてだけに考えてはいけない。遊び道具、実験材、そしてアートに至るまで――と、用途もフレキシブルに伸ばしていきたい。

食品化学新聞社の許可を得て掲載しております