「Q&A」から発展して!

食品化学新聞 リレーシリーズ 2008年5月1日掲載

中山正夫 技術士(農業・水産部門) 中山技術士事務所

◇ 理解しやすい言葉で!!

お役人が書いた「法律改正」の文章は、昔から漢字が多く硬過ぎて、外国語の訳文以上に難しい。それを補う解説書もまた同様であった。ところが最近では、十分な説明とはいかないまでも、改正に伴う「Q&A」方式のガイドブックが発行されるようになったのは喜ばしい。実は、この法律施行にあたり、関連業界などから出された質問をまとめ、解説を交えて 答えを整理したもの。そのため、実用的な「Q&A」に近づき、企業内の当事者に役立っている。

また、特許明細書の文章もわかりやすくなってきた。かつては、権威づけを狙って読みにくくしたのか、内容を理解するのに苦労した。しかし、今や本紙に毎号紹介される「ピックアップ特許情報」でも判るように平易で読みやすい文章に変わりつつあるのは進歩だ。

一方、まだまだ改善が遅れているのは、ISO やHACCP関係の用語ではなかろうか。やたらに片仮名英語や略語が目立ち、大企業対象ならばいざしらず、小企業の現場で忙しく働く人たちにとっては、用語そのもので参ってしまい、実施を諦めた事例も少なくない。

HACCPやISOなどのシステムは、現場主体に行わないと、まさに机上の空論となり、浮き上がってしまう。ただ外側から現場を覗くだけでなく、外部コンサルタント自身がある期間、現場内に入って手を汚しながら同じ仕事を体験して作業者と向い合う。そして現場を十分に把握してからのプランニングこそ、真のシステムづくりといえよう。

◇ 教わる必要性

食品関連の学会でも、研究発表を終えた後に質問者の疑問や意見を聞くのがルール。実は筆者もかつて、化学から食品分野に移った頃、食品学会の発表を聴いても、なにを質問してよいか全くわからなかったもの。しかし、他の質問者の言葉からこういう点に問題があるか? それを解決するには?  等々、それに対する応答や逆質問などから学んだ。丁度、キャッチボールのごとく、お互いが新球種の投げ合いで議論が盛り上がる。質問者は発表者の答で知識を広げ、逆に発表者は新しき考えを知って次なる研究の方向を見出すこともあろう。これに聴講者も加えて、「三方一両損」ならぬ「三方一両得」の勉強となり、「Q&A」 方式の意義を高めてくれる。

10年近く前になるか。調理加工食品懇話会の親しきメンバーと、長野県の食品工場を見学し、翌日は木曽駒ケ岳の観光に向かった。ロープウェイでは同じゴンドラ内に、5~6才ほどの男の子が父親と一緒に乗ってきた。その子にとっては初めのゴンドラ体験か、父親に「なぜ?」の質問の連続。対する父親はわかりやすく教えていた。脇から見て、子供の興味や知識欲を知り、その過程を経て成長していくのか -―と、いささかその子が羨ましくなった。

齢を重ねていくと、妙な質問を行うには多少とも遠慮勝ちになるが、筆者も若かった頃からの質問魔。今日にあってもわが愚問に答えて下さる多くの「師」に恵まれ、技術的な知識はもちろん、実用的 (現場的)な考え方を学んでいる。

◇「例えば」を使えば!

わが「師」は年齢、性別、学歴などは問わない。誰れであれほかものを持っている方、前のの子供も含む。たとえば、食品工場内で働く女性パートの効率よい動作を見習い、作業の手法を教わって他に応用したこともある。逆に反面教師的な人物からは、「こうした生き方をしてはならない」との教え?を受ける。

また、ある「師」からは――

一つの質問に対し、1つを答えるのは一般的。しかし、答えの範囲を周辺まで幅広げて話せば質問者は十二分に理解できる筈――とも教わった。

食品技術士の仕事を続けていると、クライアントを企業の方々からの質問は多種多様。前記わが複数の「師」の教えを守り、身近で現場的な「たとえば」事例を挿入し、理解度を高めるよう努めている。ともあれ、実践的「Q&A」方式を上手に組み立てたいものである。

食品化学新聞社の許可を得て掲載しております