食品展示会への招待

食品化学新聞 リレーシリーズ 2008年8月14日掲載

中山正夫 技術士(農業・水産部門) 中山技術士事務所

今年も5月に「ifia JAPAN」&「HFE JAPAN」が東京ビッグサイドで開催され、入場者は3万人を超え、「技術者の祭典」に相応しい大盛況であった。この数年、主催者より展示会でのアワード審査員を委嘱されている関係で、今回も422社、766小間に展示された技術の紹介パネルや製品を細かに見て回った。

ここでは審査の番外編として入場者、出展者の両サイドに視点を移し、こうありたいと思うところを記したい。

◇ 入場者サイドから

会場が広い上にブース数も多く、展示分野多岐のわたるため、見学には余裕を持たせたい。会場内で旧知の方とバッタリあい、話がはずんで意外な情報を得ることは、誰しも経験していよう。「勢 (せい)ては事を仕損じる」の諺があるとはいえ、時間の流れは意外に速く、予定していたブースまで見落すことにもなりかねない。

予め、食品化学新聞に紹介された出展内容を読んで吟味し、興味を持つ「重要見学ブース(?)」を決め、そこを先行して見学してから他のブースを回る事をお薦めしたい。

国内展とはいえ、時間と費用がかかる海外への展示会視察と同じ気持ちで臨みたい。また、一人でなしに知人と一緒か、グループを組んでディスカッションしながら見学するのが好ましい。人それぞれ着眼点が異なるため、共に視野が広がる筈。グループで参加の場合、見学を終えた後にともかく集まり、各自が気づいた注目点を発表する二次会に繋げれば、より 効果的。つまり、展示会は重要な学習の場として活用すべき絶好の機会なのである。可能ならば翌日も再入場し、指摘された見落とし部分を確認するのがよい。

また折角の展示会に参加したからには、出展者に対して積極的に質問したい。 Q&Aのキャッチボールを続け質問範囲より広い知識を得ることができよう。

◇ 出展者サイドから

企業が展示会に出展する目的は、「販売したい商品のお披露目」のほか、自社の技術PRやイメージアップ等々あげられよう。この線に沿って自社のブース前を歩くお客の目を瞬時に引きつけ、立ち止まらせるような興味をひくデザインにすることが肝要。つまり、商品の魅力に加えて、ブース内の照度や色彩設計、サンプルの立体的配置、そして商品説明のPOP文字の大きさなど、お客の視点のある通路側からもチェックしなければならない。展示会は「その場でものを売らず、商品を紹介して、後の販売に繋げるブース街」であり、お客が気軽に覗ける明るいムードづくりの大切さは、一般商店以上かもしれない。

また、今回の展示ではK社の「動き」を見せる 説明器具が印象に残った。それは自社の増粘剤製品を水に溶かした数種粘液の粘性較べ。2個の透明広口堰の口部を接着連結させた手作りの「砂時計 (?) 型 粘性観察器」に粘液を入れる。容器を逆さにすれば、壜内の連結部を通じてドロ!!と下部に落ちる流れを見せる仕掛け。粘度を測るのではなく、粘性の動きや違いを眼のあたり見せた点、展示実験としてわかりやすい。この際、無色透明の粘液よりも、華やかな色調の着色液にした方が目立ちやすそう。

一方、「攻め」の積極的な姿勢は来場者への試食サンプル配りだが、ただ配っただけでは意味がない。「なぜ試食サンプルを配るのか?」の目的や内容をお客に確実に伝えるべきだ。たとえば、「この点を注意して味わって欲しい」などといったコメントが必要になる。添加物効果を示したい試食サンプルでは、別に無添加のコントロール試料をつくり対比させるのがよい。

ともあれ、展示会に行ってよかった、出展してよかったとの成果は、来場者、出展者共、それぞれの立場から「この機会を逃してはなるものか!」の意気込みと考え方いかんによって決まろう。

食品化学新聞社の許可を得て掲載しております