カンボジアの食品・食糧事情あれこれ!!

  食品化学新聞「食品技術士リレーシリーズ」2020年6月18日掲載

鈴木 修武 技術士(農業部門)  (鈴木修武技術士事務所) 

 カンボジアは、アンコールワット遺跡群が有名で国旗にも描かれている。佐藤洋一郎先生(静大元助教授)のイネ講演や「イネの文明」―人類はいつ稲を手にしたか (PHP新書)などでイネを学んだ。トンレサップ湖や周辺に野生のイネが生育している情報を得て、昨年行き、野生のイネを見、さらに食品・食糧を調べに乾季と雨季に訪問した。

1. カンボジアのちょっとした概略

 面積 約18万㎢(日本の半分)人口約1610万人(2017年)GDP約222億ドル(IMF2017年)、民族カンボジア人90%、チャム族、ベトナム人など約10%、上座仏教で、他にイスラム教(チャム族)などである。外務省調べで、高校進学率20%(2016年)、大学は推定0.7~1%である。また、小学は2部制で、学習意欲が高く、公園や寺院で少人数集まり学習していた。英語の先生と話したら、寺院でPC、中、英、タイ語の無料教室があり、生徒が集まっていた。観光ガイドは日本人が作った学費無料の専門学校でガイドになったと感謝していた。

 遺跡群などの観光収入はGDPの約15%を占めているらしい。NHKによれば、アンコールワット周辺は、産業革命以前では最大の都市で、高度の技術で繁栄をもたらした。300Km内陸であって人口が100万人とは驚きである。気候は乾季と雨季があり、ため池や水路を張り巡らして国内に水を供給し、米を年3~4回収穫し、飢餓は無縁であった。農業の発達と宗教の融和で、世界と交易をし、長い平和をもたらしたと感じられた。乾季に訪れたため池の西バライは、王しか入れない水測定島があり、船で約10分、徒歩30分であったが、雨季では完全に測定島だけになっていた。

2. 農家の暮らしと野生のイネ

 昭和30年代の農家の生活があった。若夫婦と両親、敷地内には牛、アヒル、ニワトリなど家畜が飼われ、多種の果実や薬草が植えてあった。簡単な装置でヤシ酒や焼酎を製造し、酒の製造は、不許可で余剰米より作る。蒸米を竹の簾の上で麹を作り、次に米が浮いている大きなポリ容器でブクブクと発酵し、アルコール臭がした。横の釜戸で

カンボジアの大規模稲作とイネの調査

、鍋を用いて蒸留をし、30度?以上の蒸留酒であった。窯から屋根にポリ製の配管が上下し大きな瓶の水を張った装置で冷却していた。隣のおばの家で簡単な雑貨品、果物類も売っていてこの酒も結構売れるらしい。野生と栽培のイネは、「のげ」の有無である程度区別できる。遺跡や湖の周辺を探した結果、長い「のげ」の野生イネがあり夢を実現し感激した。現在は、野生のイネのために雑種の米ができ、品質が悪くなり、売れないので年1回しか作らないと聞いた(日本毎年種もみ購入)。昼飯は道路に面した簡単な食事処で、店頭でローストしている焼き鶏・カエルを食べた。ご飯は無料で蓮の葉の皿に出され、粘り気がありおいしかった。鶏肉は離し飼いの鶏で身がしっかりとし、塩だけでもうまかった。カエルは内臓を取り出し調味料や野菜、香辛料が入っていた。

3. 食品市場と食品工場は、どんな様子か

昼食を食べた食堂

 シェルムアップは観光都市で、観光向けの近代化されたスーパー、コンビニ、外食産業と地元向けと区別。地元の最大市場は、町から6km離れたところにあり、地元民には便利で生活必需品はほとんど揃う。生活感に満ちて、鶏、豚、牛などの肉、内臓などで冷蔵はなく、ハム、ソーセージなどの専門店、野菜(大根、人参、キャベツなど)、果

地元の市場・肉屋

物(バナナ、みかん、リンゴ、マンゴー)などの店舗であった。調理食品は、焼き魚、煮魚、肉類などで、10種類位の鍋もあり、蚕の幼虫にインゲン、ネギ、唐辛子を入れて、別売りの薬草が置いてあった。値札がなく値段は交渉次第である。地元のドリアンを買うと10ドルと高いが、ねっとりと甘く、新しいので臭くなかった。郊外の道路側面に、朝採りしたヤシ類の花序や幹の樹液からパームシュガー液を鍋に入れ、薪で煮詰めて液状糖や固形糖を作り、ヤシの葉で編んだ容器に入れて販売していた。パームシュガー、ココナッツミルク、タピオカ澱粉などで焼き菓子を人で作り、土産用に売っていた。中小の食品工場を探したがなかった。

地元の地方市場

 当地の給料はガイドによれば、1.5万円/月らしい。また、夕食の値段が、15~20米ドル(1米ドル≒約110円以下同様)、トゥクトゥク(オートバイに荷台を着けた乗り物)は、3~5米ドルで観光客相手である。カンボジアと日本のスーパーの価格比較をすると米でスーパーでは、136~214円/1kg(日本米230~376円、南魚沼産556円)で

地元の市場

、市民が使う市場では50~110円であり、意外に価格差はなかった。食用油は、タイ、韓国、中国などの輸入品が多く、263~561円/1㎏(192~458円)で、日本より高かった。こんな調査であった。

 

 

 

地元の調理食品売り場

外国人・観光客用スーパー棚

路上でパームシュガーを煮詰める作業
乾燥させて商品にする。

街中の地元の米売り場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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