食品ロス削減の課題と取り組み

食品化学新聞「食品技術士リレーシリーズ」2020年月日掲載

木本 晋作     木本技術士事務所 所長 技術士(機械部門)

 2019年1月末、食品ロス問題として恵方巻の廃棄がメディアで大きく取り扱われていた。
“もったいない” なぜ食べられるのに捨てられるのか。
同年5月には「食品ロス削減推進法」も設立・交付され、世間からも注目が集まる中、「食品ロス」の現状、そして削減と今後の取り組みについて考えなければならない。

 国内では年間に発生する食品ロス量は年間643万トン(平成28年度推計)で食品関連事業者からの発生量は、約352万トンを占めている。さらに一般家庭からの発生量は、約291万トンとなり、全体の約半分を占めることになる。
 食品ロスの発生している要因は、食品関連事業者の場合、規格外品、返品、売れ残り、食べ残し、一般家庭の場合、食べ残し、過剰除去、直接廃棄などが挙げられている。これらのことから、国内における食品ロスは早急に取り組むべき課題となっている。

 諸外国における食料自給率は2013年データを基に比較すると、日本のカロリーペース食料自給率は38%(2017年)に対して諸外国のベスト3であるカナダ264%、オーストラリア223%、アメリカ130%に大きく離され食料を自前で調達できない、すなわち現状の日本は、海外からの輸入に大きく依存することになっている。

 食品ロス削減に向けた今後の取り組みについて、どのようなことが必要となるのか。
 国としての取り組みとして、削減に関する法律の制定や数値目標の設定、関係省庁の取り組みなどはすでに着手され活動が推進されている。

 食品ロス削減に関する主要な法律としては、食品リサイクル法があり、食品関連事業者による食品廃棄物等の発生抑制や減量化、食品循環資源の再生利用等の促進が図られている。

 また、流通・加工の構造改革(特に農業分野)で取り組むべき具体的な施策として「食品小売業、外食産業が異業種と連携した需要予測や物流効率化の取り組みを推進し、小売り・消費レベルでの食品ロス削減を進める」ということが明確に記載されている。

 食品ロス削減について企業としての取り組みは、どう進めればよいのか。
 食品ロス発生の抑制には、食品ロスにつながる商習慣の見直しと新たなビジネスモデルの創出が重要になってくると考えられる。
 商習慣の見直しでは、食品の過剰在庫や返品等により発生する食品ロスなど、個別企業の努力だけでは解決が難しく、製造・流通・販売に関わるそれぞれの業界全体が連携して取り組む必要がある。

 では、この商習慣といわれている中で問題となるものはいったい何があるのか。
 まず“加工食品の納品期限(いわゆる1/3ルール)”が挙げられる。
賞味期限の1/3までに小売りに納品しなければならないという商習慣上の期限が問題となっている。
慣例としている企業も多く、納品期限を過ぎた商品は、賞味期限が残っているにもかかわらず、そのほとんどが廃棄され、食品ロス発生要因となっている。

この商習慣の見直しとしては、納品期限の緩和と共に賞味期限の年月表示化を推進することが挙げられていて、年月日表示にしないことになる。例えば、清涼飲料や賞味期限180日以上のお菓子の納品期限を、現行の1/3から1/2に緩和した場合、約4万トンの廃棄を削減できることが試算されている。
 この緩和を踏まえた取り組みを大手販売店、スーパーやコンビニエンスストアなどで積極的に導入することを働きかけることができれば業界全体として大きなメリットになると考えられる。

 食品ロス発生の抑制として、もう一つ “新たなビジネスモデルの創出” が挙げられる。
 まず思い浮かぶのは、インターネットを利用したビジネスモデルが考えられる。
 例えば、余剰食品を抱える事業者と消費者をネットで結びつける、賞味期限の迫った商品、規格外の野菜などもオンラインで消費者や飲食店に販売する、あるいは飲食店などは売れ残った料理を割引低価格で販売する会員制アプリなどを導入するといった新たなサービスを創出し食品ロスを解決する手段とするなどが考えられる。

私たちが再度考えるべきは、大切な食べ物を無駄なく食べきること、それが環境や家計にも“やさしい”こととなることを肝に銘じるべきである。
今後の食品ロス削減に向けた様々なアイデアや新たな取り組みの広がりを期待したい。

 

食品化学新聞社の許可を得て掲載しております