昆虫食の可能性と未来 ~コオロギ食用化への挑戦~

昆虫食の可能性と未来 ~コオロギ食用化への挑戦~
講師 株式会社グリラス代表取締役社長     岡部 慎司氏

 2020年3月より、良品計画から「コオロギ煎餅」が発売され、大きな話題となっている昆虫食について、その供給元である岡部慎司様からご講演をいただいた。グリラス(https://gryllus.jp/)は徳島大学初のベンチャーとして、コオロギの養殖、育種、販売を行う会社である。2016年4月にクラウドファンディングでプロジェクトがスタートし、当初は昆虫食というと敬遠する者も多かったようであるが急速に認知が広がってきた。昆虫食に注目したきっかけは、人類は2025年にタンパク質危機を迎えるのではないか、一方で食品ロスが多く循環型食用タンパク質大量生産が必要ではないかとの考えから。栄養価が高く、環境負荷が少ない、生産が効率的、食味も良好で心理的抵抗感も少ないフタホシコオロギに注目し養蛬(ようきょう):コオロギを養殖する産業の確立を目指している。世界では、イエコオロギの養殖が、2010~2014年にアメリカ、カナダ、フィンランドで始まっているが、グラリス社は自動飼育システム、ゲノム編集による系統育種に優位性があると考えている。昆虫は2015年に、EUからNobel Foods(新規食品)とされ、日本においても2030年には200億円の市場となると予想されている。先進国のフードロスで食用コオロギを生産し良質なタンパク質を最貧国の飢餓地帯に提供することがゴールである。

 当会が1月に行った50周年記念フォーラムで食の未来として昆虫食が示されたこともあり、会員の関心も高く、講演中・後にはアレルゲンやアミノ酸スコア、特許技術について多くの質問があった。私自身も今年1月に20代の若者達が昆虫食レストランを立ち上げるというクラウドファンディングに出資し、彼らはコロナ危機を乗り越え、6月4日(ムシの日)に、グラリス社のコオロギを使ったラーメンを提供するレストランをオープンし好評と聞いていたことから、養蛬について理解を深める大変有意義で楽しい講演であった。