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新顔食品 

技術士 佐藤正忠 (農業&経営工学部門)

最近デパ地下やスーパーマーケットの青果物売り場には西洋野菜や珍しい名前の新顔野菜が並んでいるのをよく見かける。今回はこの新顔野菜を取り上げてみたい。

新顔野菜の一つが定番野菜のミニサイズ品種である。持ち運びも容易で、収納スペースもあまりとらない。また大型野菜では一度に食べきれない少人数家族にも最適である。食品ロス防止の一貫にもなる。さらに野菜を切らずに丸ごと使用できるので手間が減り、時間短縮にもなるというメリットがある。

特に健康志向が高まる現在、定番野菜よりも栄養価が高い品種の新顔野菜にはリコピンなどの機能性成分が豊富な種類もある。新顔野菜には見た目が個性的でおしゃれな海外品種も含まれる。西洋野菜に力をいれる生産農家も増えつつあり、消費者も手軽に購入することができる。料理に加えたり、定番野菜の代わりに使用すれば料理の見栄えが良くなり、おしゃれな感じがしておもてなしにも良い。魅力がたくさんある新顔野菜を使わないなんてもったいない話である。

最近の売り場で見かける新顔野菜のご紹介をしたい。
1. ミニチンゲン菜
草丈は10から15㎝くらいで一枚の葉も手の平サイズ。チンゲン菜と同様に鍋料理や煮込み料理に切らないで丸ごと使用できる。

2. プチヴェール
ケールと芽キャベツを交配してつられた野菜である。βーカロテン、カルシウム、鉄分が多く甘くておいしくヘルシーで食べやすい。和洋中どんな料理にも使える便利なものである。

3. サラダ用ケール(ソフトケールなど)
青汁の原料になるほどビタミンやミネラル類が豊富なケールである。苦みを抑え、生でも食べやすいように開発された品種である。サラダやスムージーの他に加熱料理にも使用できる。

4. トレビス(ラデッキオ・ロッンなど)
一見したところ芽キャベツに似ているが全くの別物である。レタスの仲間で葉はキャベツより柔らかい。独特のほろ苦さが特徴である。加熱すると苦みが増すので、生でサラダに使うがよい。色も赤色で盛付け後見栄えがよくなる。加熱調理の場合は短時間で処理すること。

5. アイスプラント(プッチーナ)
葉や茎の表面に水滴のような粒があり、ほんのりとした塩味がする。カリウムなどが豊富な新食感のヘルシー野菜である。サラダや料理のトッピングには最適である。名前は粒々が氷のように見えることに由来する。

6. ペコロス(プチオニオンなど)
直径が3~4cmくらいの小さな玉ねぎである。その小さなサイズを生かしてまるのままシチューなどの煮込みまた揚げ物、串に刺して焼き物に使うことができる。
小ぶりで大変使いやすい。

7. ビーツ
強い抗酸化作用がある赤い色素ベタシアニンや葉酸を豊富に含む。ほんのりと甘く、独特の土のにおいある。ボルシチなどの煮込み料理やピクルス、臼杵切ってサラダにするとよい。赤色で見栄えもよくなろう。

8. 高リコピンニンジン
β―カロテンはもちろん一般のニンジンにはすくないリコピンが豊富であり、赤みが濃い。甘味が強く、油との相性が良い。特にオリーブ油と合わせるとリコピン吸収率がアップする。

9. 高リコピントマト・β―カロテントマト
一般のトマトよりリコピンやオレンジの色素成分のβーカロテンの含有量が高い品種である。いずれも赤色が濃いのが特徴である。高β―カロテントマトはオレンジ色系赤色のプチトマトに多い。

10.ミニきゅうり
普通のキュウリより小さく8~12cmくらいの小ぶりなものである。ピクルスとか丸ごと漬物にすることができる。
11.食用ほおずき
サラダなどの付け合わせにするとおしゃれで見栄えが良くなる。実は甘くプチトマトのような味わいがあり、デザート向きのもの。
12.ブロッコリースプラウト
ブロッコリーの新芽である。フィトケミカル(野菜や果実に含まれる化学成分の総称で、植物自身が紫外線や病害虫などから自分の体を守るために作り出している成分で人体にも有用であるのこと)の一種であるスルフォラファンという抗酸化物質を多く含み、がん予防(抑制)、新陳代謝、抗老化作用(メタボ予防)などの効果が期待される。噛むとピリッとする辛味がある。
13.豆苗
今ではもう珍しくはないが、中国野菜でエンドウの若芽である。炒め物、スープに使用される。ビタミンも豊富である。
最近はこのような野菜がきれいにパックされて市場の棚に並んである。日本のこのような商品の売り場はいつ見ても楽しいものである。これらの野菜はカラー写真でお見せできないのが残念である。

(食品化学新聞  2021.2.18)