2021年 6月 例会 講演会 Webのみ

例会 講演会

2021年6月19日 Web例会    13:00~
Web講演会 14:00~16:50
緊急事態宣言延長に伴い、6月例会はWebのみの開催とすることに決まりました。

特別企画:HACCP施行および微生物迅速測定

講演1:「食品微生物検査 ~前処理からカウントまで各プロセスでの効率化~」

  インターサイエンスジャパン株式会社 菅 瑛美(かん えみ)氏

講演要旨:
昨今のHACCP義務化の流れより、自主検査実施が多くの事業者様で検討され始める中、品質管理に携わる人員が増えなければ、現場の担当者にとっては、負担増となってしまいます。微生物検査の工程は繰り返しかつ単純作業も多く、品質管理業務に携わる時間をなるべく確保するため、検査工程への機器導入が一つの方法と考えております。
インターサイエンスは、40年以上に渡り、微生物検査に特化した製品開発と製造をしており、何かしらの製品がお役に立てるのではないかと考えております。
スライド資料

講演2:「改めて“国際的に通用する正しいHACCP”を考える ~コーデックスのHACCPガイドライン改訂などを参考に~」

  株式会社食品化学新聞社 月刊フードケミカル編集部 立石 亘 氏

講演要旨:
HACCP制度化の本格施行を迎えた一方で、その具体的な取り組みには多くの食品等事業者が対応に苦慮しています。大切なのは「自社の実情に最適な自主管理の仕組みを構築する」という考え方やアプローチではないでしょうか。自主管理の仕組みを構築・運用・維持管理するためには、HACCPの“本質”を理解することが重要です。昨年11月のコーデックスのHACCPガイドラインの改訂などを参考に、改めて「HACCPの基本」について考えていきます。  スライド資料

 

講演視聴記

「食品微生物検査 ~前処理からカウントまで各プロセスでの効率化~」インターサイエンスジャパン株式会社 菅 瑛美氏

内容:
当月の食品技術士センターの講演会は「特別企画 : HACCP施行および微生物迅速測定」と題して、前半はインターサイエンスジャパン株式会社 菅 瑛美 氏より「食品微生物検査 ~ 前処理からカウントまで各プロセスでの効率化 ~」と題して、同社の製品紹介も絡めてご講演をいただいた。

インターサイエンス社は1979年に設立。微生物検査に必要な機器や消耗品のデザインを行っており、同社の製品は世界100か国以上で利用されている。サンプルの前処理からバクテリア分析まで、一連の流れに対応できる製品のラインアップを確保している。

サンプル前処理のダイリューターについては、ロボチックアームやノズルプロテクションといったユーザビリティの向上やデザインの工夫により、コンタミネーションの防止が図られている。また、ドリップトレーやゲッコークリップ、マグネット式バッグオープンやLEDライトコード等の仕組みにより、より正確な前処理やクリーニングが行える。機器の大きさもクリーンベンチに入るサイズとなっており、徹底的なデザイン思考がなされている印象を受けた。

ホモジナイザーについても、調節可能なブレンディングパワー、クイック&クリーンな構造で部品ごとの完全滅菌が可能な構造、液体センサーによるインターロックシステム、騒音も48dB以下となっており、おそらくは、ユーザーの声を真摯に拾い、製品の開発に有効に活かしていることが推察される。

培地や希釈水の分注に利用されるフレキシポンプもハンディガンや調節可能なアーム、フットペダルの利用で、より正確な分注作業に注力しやすい工夫がなされている。

培地シャーレへのスパイラルプレーティング装置でも、スパイラル塗抹をはじめとする複数の塗抹法ができるようになっており、作業時間の短縮や消耗器材の削減など、さらには連続希釈の自動化がなされており、人為的なミスを徹底的に防ぐための工夫に驚いた。

自動コロニーカウンターにおいては、光源からの光の当て方の工夫とカメラの解像度で、シャーレの辺縁部のコロニーまでカウントできる。結果のプリントも楽にできる。スキャニングシステムはFDA(米国食品医薬品局)の21 CFR Part11にも対応。データのトレーサビリティもしっかりできる。
筆者も大昔に微生物試験を担当したことがあったが、コロニーカウントと結果の取りまとめが一番泣かされた。そんな苦労も今や昔の話となってしまった感がある。

一番の驚きは最新のリアルタイムコロニーカウンターScanStationである。インキュベーターと自動コロニーカウンターがセットになっているものであるが、インキュベーター部はペルチェ素子を用いて均一な温度管理を実現、 サンプルマネジメントはワンバッチもしくはマルチバッチで管理可能尾、シャーレの正置・倒置も対応、圧巻はコロニーの発育動画やリアルタイム培養サイクルの実現で、早期の製品出荷判定ができるとともに、製品の滞留時間の削減、賞味期限の短い製品にも対応できるシステムとなっている。

所感:
いかに短時間で微生物による危害が生じていないかどうかをどう判断するか、今まではATP法などで間接的に判断をすることがあったが、やはりリアルタイム培養での分析結果が求められる時代となっており、そのためにはいかに人為的なミスを防ぎつつ、培養にかかる時間的な制約をどう下げていくのかが重要となっており、同社の製品群は、先に挙げた懸念を解消する有力なツール及びソリューションの一つであるといえる。
質疑応答時にScanStationの価格を聞いて驚いたが、やはり微生物に起因するリスクを如何に低減できるか、過去に様々な食中毒事故等での被害の大きさを鑑みるとやむなしともいえる。