「エディブルフラワーを食卓へ」」
公益社団法人日本技術士会登録 食品技術士センター理事
日本食品技術株式会社 代表取締役
技術士 農業部門(食品製造)江本三男
一般社団法人 日本ソムリエ協会 ソムリエ
キーワード:エディブルフラワー,食用花,食べられない,玉川高島屋
はじめに
食卓を美しく飾り、インスタ映えする素材であり食品ともなる、食用花(エディブル・フラワー・edible flower)が最近話題となっている。先月も玉川高島屋でエディブルフラワーメニューフェア(4月21日~5月11日)が、テーマ「食べられるお花のもてなしメニューレストランで開催中」と銘うって開催された。店内の各レストランが、独自の料理を競うイベントであった。そこで、改めて花の美しさに料理を引き立てる魅力があることを実感した。ちなみに、各レストランで食べられる料理は、フルーツワッフル,アイスティー,ハチミツピッツア,パフェ,オーロラサイダー,イタリアンレモネード,ドルチェ,フルーツタルト,ティーソーダ,クレープ,ソフトクリーム,中華ゼリーデザート,チップドサラダ等々である。
花を食べるとは
エディブルフラワーとは、植物の花を食材として用いることであり,食用に供せられる花のことである。狭義には味ではなく食卓の彩りを目的として使用されるもの,そして広義にはブロッコリーやカリフラワーのように味や栄養を目的とし、野菜として食用にされるものや、ボリジやタイムなど香りを楽しむハーブとしても利用されているものも含む。
皆さんの食卓に登場しているカリフラワーやミョウガも花が食べられて、料理の彩りや香りづけに利用されているのをご存じであろう。花には、ビタミンなども豊富で、野菜や果物と同じ感覚で食べられている。食べられるだけでなく、花として美しさで料理をデザインするものとしての可能性が広がり、花たっぷりの食卓で、季節の訪れを感じられるものである。
ところで、農林水産省のガイドラインよれば、毒性がなく低農薬で育てられた花を指す。色とりどりの花を添えることで、料理を華やかでフォトジェニックに楽しめることから、今、女性を中心に人気とのことである。日本では、1967年に桜草の栽培から始めた愛知県豊橋市が、国内生産の約9割を占める。豊橋温室園芸農協がエディブルフラワー部会では、ビオラ、トレニア、コスモスなども栽培し出荷している。需要としては、人目をひくパーティ料理などがあるとのこと。
食用に使われる花と料理
・キンレンカ(サラダ)・ウスベニアオイ(サラダやハーブティー)・食菊(花びらをおひたしなど)・キンギョソウ(どんな料理にも)・キンモクセイ(花の砂糖漬けを菓子の香りづけ)・キンレンカ(特有の辛味がありサラダに)・サクラ(塩漬けの花をアンパンなどの和菓子や桜湯など)・ラン(塩漬け)・サクラ(塩漬け)・パンジー(サラダの彩り)・ズッキーニ(つぼみに肉を包んで揚げる)・ニセアカシア(天ぷらや酢の物 注:
花以外の部位は有毒)・カンシロギク(菊に似た味でやや苦み)・トロロアオイ(花弁を生のままサラダに)・モクレン(スープやサラダの付け合わせ)・オクラ(おひたし)・花胡瓜(刺身のつま)などなど
食用として気をつけること
エディブルフラワーの品種でも、鉢植や切り花で観賞用に販売されているものは、食用を前提としない種類の農薬や延命剤などが使われているので、健康被害のリスクがあることに気をつけなければならない。従って、食用に販売されているものを購入するか、消費者自身が手元で管理して育てたものを使うべきである。さらに要注意として、「食べられない花」一例を記述する。キキョウ、スイセン、彼岸花、クリスマスローズ、シャクナゲ、クレマチス、アジサイなどが、身近なにある美しい花であるが、くれぐれも注意すべきである。
むすび
エディブルフラワー人気の秘密は、何といってもその美しさであろう。本稿で写真をお見せ出来ないのが残念である。ところで、筆者がエディブルフラワーについて記述したのは、自身のフェイスブックに毎日花の写真を投稿しており、その中に食用花が散見されることが始まりである。美しく、かつ美味しそうに野辺に咲いているので、いつも試食してみたいのであるが、散歩するワンちゃんの影響が気になるところである。
(食品化学新聞2021.9.16号 掲載)